インプラントを断られた方へのダイレクトブリッジ

 近隣の歯科院にてインプラント治療を断られてしまい、臨在歯を切削したブリッジの装着を勧められた方です。

ダイレクトブリッジは骨への影響がないため、インプラントの適応が難しい場合でも、装着できることがあります。

 


 東京都内から来院されました。近隣の歯科医院にて、過剰歯があるためインプラント治療ができないとの説明を受けたそうです。臨在歯を切削してメタルボンドブリッジを勧められたが、本人は納得できなかったそうです。

 


 スーパーボンド固定部を切削したところ、自然脱落しました。

21の根尖部に位置していた過剰歯も合わせて抜歯しました。

 


 当日中にダイレクトブリッジの装着を進めました。血液による接着疎外を防ぐため、抜歯窩に異物を混入させないためにラバーダム装着を行いました。

 

抜歯即時でダイレクトブリッジを装着する接着のコツとして

 

・ラバーダム防湿が必須

 →出血により乾燥できない

 

・無切削エナメルのハードエッチング

 →無切削のエナメル質は耐酸性が強いためエッチングがかかりにくいです。

  私は30秒程度エッチング時間を設けています。

 

・ボンディングのダブルアプリケーター法

 →ボンディング層をより厚くするため

  ボンディングが効いていない歯面を残存させないため

  以上の理由でボンディングを2回塗布します。

 

エッチングされたエナメル質部分を強くスクラッチすると、エッチング層を破壊する為、軽く滴下する感じで十分です。エナメルへの接着力は強固なので安易に考えがちですが、手順を誤ると術後褐線の原因になるので注意が必要です。


 ダイレクトブリッジ装着直後の写真です。この時点で、ポンティック歯肉側の回復の見込みが低いと判断しました。そのため、歯根形態を付与したポンティックを装着しました。

 この日は3時間くらい治療時間がかかってしまったため、患者さんには大変な思いをさせてしまいました。治療時間がかかりますが、1回でほとんど終わらせることが出来ました。


 2週間後に形態修正と艶出し研磨で完了しました。

短期間でキレイになり、症状も出なかったため、大変喜ばれておりました。

 


 約1か月後の経過観察です。これは!回復するのでは?!

 


 そこでポンティックの歯根形態部分をカットしました。

通常のブリッジやインプラントだと、治療後に修正が難しいのですが、

ダイレクトブリッジなら余裕です!

躊躇することなく、容易に修正できます。

 


1年半後の経過観察です。

見た目も機能も全く問題ないとおっしゃっていただけました。

電車で片道1時間以上もかけて通院していただき、誠に恐縮です。

欠損部の唇側歯肉が陥没気味なので、回復してくれることを期待しています。

 

・注意事項

症例写真は患者様の了解を得たうえで掲載しております。

無断複写・転載は一切認めておりません。